声のポジションとは何なのか?
みなさん、こんにちは!
車田和寿です。
今日は、「声のポジションとは何なのか?」という話をざっとしていきましょう。
声のポジションとは何なのか。
これは人によって本当にいろんな言葉の使い方をしていますから、共通の言葉を探すのがなかなか難しいです。
ですが、今日話題にするポジションとは、
「みんなが歌う時に、一番最初に考える場所」
だと思って下さい。
みんな、最初の一声を出す時に、必ず頭の中で、
「どこで声を鳴らすのか?」
という事をイメージして歌い始めると思います。
声をどこで鳴らすのか。
声をどこに響かせるのか。
声をどこに置くのか。
こういうのは、全部ほぼ同じ意味だと思って下さい。
僕たちは、多くの場合、声を出す時にイメージする場所の事を「ポジション」と呼んでいます。
「ポジション」という言葉には別の意味もある
ちなみに、ポジションという言葉は、姿勢の事を指す場合もあります。
例えば、
- 横隔膜の位置
- 肩の位置
- 胸の位置
- 首の角度
こういうものをポジションと言う事もあります。
ですが、それはまた別な意味でのポジションですから、今回の話とは別です。
今回は、
「声を出す時にイメージする場所」
という意味で話をしていきますので、まずそこを押さえて下さい。
多くの人は、間違った場所をイメージしている
さて、声を出す時にイメージする場所と言いましたが、みんないったいどこをイメージするでしょうか?
声をどこに置こうと意識しているでしょうか?
実は残念な事に、これは人によって本当にバラバラです。
そして、これまた残念な事に、多くの場合、その理解は間違っています。
つまり、間違った場所を「声を置くべきポジション」だと思ってしまっているという事です。
具体的には、どんな事が挙げられるでしょうか。
一番歌を学んでいる人を混乱させる言い方が、
「ポジションはとにかく高めに」
という教え方です。
「声のポジションは高ければ高いほどいいのよ」
「そうすると響きが高くなるのよ」
なんて教え方がされる事は、かなり多いですよね。
「顔の前に響かせる」は本当のポジションではない
それから、
「声はおでこの前あたりに響かせるのよ」
とか、
「鼻のあたりに響かせるのよ」
なんて教わると、最初の声を出す時に、その場所に振動を感じるように意識して歌い始める事になります。
そして、そういった意識を繰り返す事で、
「声のポジションというものは、頭の上の方の高い所にあるんだ」
とか、
「顔の前のこの辺にあるんだ」
という意識へ変わっていき、それがやがて、その人にとっての「声のポジション」という理解になっていきます。
しかし、こうした理解は、本当の意味での声のポジションの理解からは、残念ながら大きく離れています。
だって、
「頭の上の方」
「顔の前あたり」
なんて言われたって、実際にどこかを明確に言えないですよね。
実際に体のどこがどうなっているのか、説明できないと思います。
それはそのはずです。
それはイメージにすぎないからです。
実態がないものを、ポジションと勘違いしてしまっているんです。
本当の意味での「声のポジション」
本当に声にポジションというものがあるのであれば、それはちゃんとした場所として明確に指摘できるものであるはずです。
そうでないものは、単なるイメージや空想にすぎない場合が多いです。
じゃあ、声のポジションとはどこにあるべきなのか。
早速答えを言いましょう。
答えは非常にシンプルです。
声のポジションというのは、一か所しかありません。
それは、
実際に僕たちの声帯が振動しているところです。
あなたの声帯が振動しているところを、声のポジションと言います。
大事なのは「どこで振動しているか」
ここで大事なのは、
「その振動している位置が、どこにあるべきなのか」
という点です。
声帯が振動するところがポジションだと言いましたが、喉というのは、あくまで僕の感覚ですが、10センチぐらい上下します。
この10センチぐらいの範囲というのが、実際に僕たちが訓練してコントロールできる場所の事です。
そして、その10センチの中に、しかるべきポジションというものがあるんです。
感の良い人なら、もう気が付いたと思います。
その「しかるべきポジション」というのは、
この10センチの中でも、もっとも低い所にあります。
なぜ低いポジションが必要なのか
どうして低い所にあるのか。
その理由は非常にシンプルです。
特に高い声を出すためには、声帯を伸ばす必要があるからです。
そして、伸ばすという動作は、この喉ぼとけのある骨の部分が、下に下がるのではなく、斜め前に倒れ込む事で起こります。
だから喉というのは、音が高くなればなるほど、より低い位置へ行く必要が出てくるんです。
でも、高い音を歌おうと思うと、体は僕たちの意思に反して逆の動きをしてしまいます。
喉がどんどん上がってしまうんです。
それは、僕たちが普段そうやって話をしているからでもあります。
普段の生活で当たり前のように逆の動きをしているので、音を高くしようとすると、喉が高くなる筋肉を反射的に動かしてしまうんです。
喉が上がると、何が起こるのか
そうなると、声帯は十分に伸びる事ができません。
その結果、あとは声帯を押しつぶすようにして、根性で高い声を出さなければならなくなります。
そして、このような状態を、
「ポジションが上がってしまっている」
なんて言います。
逆に、常に声帯を伸ばす事ができるような喉の位置で声を出した時、
声は正しいポジションにある
と言います。
そして、これらのポジションというのは、訓練すると、声を出す時に真っ先に感じる事ができるようになります。
毎回同じ場所から、声の振動を作る事ができるようになります。
それが、コントロールされた歌い方です。
「頭に響く」のは結果にすぎない
最後に、
「じゃあ、頭の上の方の高いポジションとか、顔の前のポジションというのは何なのか?」
という話をしておきましょう。
これらは、
正しい声のポジションによって生み出された“結果”
にすぎません。
正しいポジションで歌ったら、当然響きは豊かになります。
輝きもどんどん増えてきます。
人によっては、頭の上の方や前の方の振動を感じる事ができるようになります。
しかし、それは、
声帯を正しく振動させた結果
にすぎません。
最適な場所で振動させる事ができれば、より豊かな響きを得られるようになります。
その振動させる場所というのは、
声帯がある場所以外にはあり得ません。
ヴァイオリンと同じ
これはヴァイオリンと一緒です。
ヴァイオリンの音は、弓で弦をこする事で振動します。
最適な場所で、最適な力加減で弦をこする事で、音というのは豊かな響きへと変わります。
こする場所がネックに近すぎても、駒に近すぎても、最適な響きは得られません。
それと同じです。
それが、声のポジションです。
「喉声」とは全く別の話
ただ、日本人の多くは、
「声のポジションは声帯にある」
と言うと、
「それはいわゆる喉声なのではないか」
と勘違いして、そうした事実をあえて避ける傾向があります。
でも、非常に残念ですが、
声のポジションがここにある事と、喉に力が入っている事は、全く別の現象です。
まずは、
- 声のポジションは、声帯が振動するところにある
- その振動する場所には、最適な場所がある
- そして最適な振動のさせ方がある
という事を押さえておきましょう。
これ以外のポジションは、勉強している人を、ゴールのない迷路へ導いてしまう危険性があります。
ゴールのない道を進まないように気を付けて下さい。
スタートは、あくまでここからです。

