みなさん、こんにちは!車田和寿です。
今日は久しぶりに、横隔膜のトレーニング方法をいくつか紹介したいと思います。
横隔膜をトレーニングする方法はいくつかありますが、今日はその中でも、体の内部の圧力をキープするトレーニングです。
歌うためには息の「圧力」が必要
歌う上では、僕たちは空気を送り、それを声帯で振動に変えます。声帯を息が通ることで振動が起こるわけですが、この時、息にはそれなりのパワーが必要です。
あくまでイメージですが、みなさん耳鼻咽喉科に行った時に、ネブライザーという吸入器を見たことがありますよね。
吸入口に生理食塩水や薬剤を入れ、それを霧状にして吸入する仕組みですが、この時、ポンプで圧縮された空気がチューブから出てきて、薬液を霧状にします。
それから、うちでは庭の雑草を枯らすために酢をまくことがあるんですが、その時には手動式のポンプを使って空気を圧縮します。すると、ノズルから酢が細かいシャワー状になって出ていきます。
ポイントは、空気の圧縮です。
吸入器でも噴霧器でも、空気を圧縮することで圧力が高まり、勢いのある空気を送り出すことができます。
僕たちが歌う上でやらなければならないことも、イメージとしてはこういう仕組みに近いものです。
体の中の圧力を高める
空気を圧縮すると言いましたが、方法は大きく二つあります。一つは、同じ量の空気をもっと狭い場所に押し込んでいく方法。もう一つは、決まった空間により多くの空気を入れていく方法です。
歌の場合は、この両方を少しずつ取り入れるようなイメージで圧力を高めていきます。
まずは、体の中がパンパンになるくらいのイメージで、息を深く吸い込めるようにならなければなりません。
もちろん、これはあくまでイメージです。慣れてくればそこまで極端に考える必要はありませんが、最初のうちはそのくらいの意識を持たないと、空気がすぐに抜けていってしまいます。
そして息を十分に吸ったら、その圧力を横隔膜の働きによってキープします。
試しに息を止めてみてください。この時、息は声帯の下で止まっています。そして広がった状態を保ちながら下から圧力を加えることで、体の内部の圧力を声帯の方向へ高めていきます。
歌っている時には、当然ながら息が少しずつ出ていきます。その出ていく息の量と、横隔膜によって加える圧力のバランスを常に取ることで、息をコントロールできるようになります。
これがないと、いつもしぼんだ風船のようなところから空気が出て、それで歌っているような、力のない歌い方になってしまいます。
トレーニング① 少しずつ息を吐きながら圧力を保つ
では、その圧力を高めるトレーニングをやってみましょう。
まず慣れるまでは、息をしっかり吸って、唇の間から少しずつ息を吐いてください。
ここで大事なのは、長く吐き続けることではありません。最後まで圧力をコントロールすることが目標です。
ですから、20秒から30秒程度で十分です。そして最後は、息が完全になくなって終わるのではなく、自分の意思で吐き切って終わるようにしてください。
圧力が高すぎると、だんだん顔が赤くなってきます。練習でそこまでやる必要はありませんが、弱すぎてもトレーニングになりませんので、自分で適度な圧力を調整しながら加減を見つけてください。
最初は上限を知るという意味で、自分にとってある程度しっかりと圧力がかかっている状態を確認してみるとよいでしょう。実際の練習では、無理なくコントロールできる範囲の圧力を保つことが大切です。
トレーニング② 息を吐かずに圧力をキープする
それができるようになったら、今度は空気を吐かずに、体の内部の圧力をキープする練習をしてみましょう。
まず深く息を吸うところまでは一緒です。そこから今度は息を吐かずに、「ハッ」と息を止めてみてください。
この時、喉には余計な力を入れないことが重要です。 声帯が閉じた状態なので、息は外へ抜けていきません。
そのまま横隔膜が広がった状態を保ち、下から少し圧力を加えるような感覚で、体の内部の圧力が高い状態をキープします。
この時、体の中、特に肋骨や腰のあたりは広がった状態になります。内側から圧力を加えていくので、逆に外へ飛び出そうとするような力を感じるはずです。
その状態を、息を吐かず、かといって喉に必要以上の力を入れずに保ってみてください。
慣れないうちは結構しんどいと思います。しかしオペラでは、基本的にこの圧力を保ち、あるいは細かくコントロールしながら歌っていきます。
息の圧力が声帯の振動につながる
そして、このコントロールされた息が、声帯を自然に、そして効率的に振動させるための重要な要素になります。
ただ大量の息を吐けばいいわけではありません。大切なのは、体の内部にある圧力と、実際に外へ出ていく息の量とのバランスです。
横隔膜のトレーニングというと、単純に「息を長く吐く練習」をイメージする人も多いですが、目的は息を長くすることではなく、必要な圧力を自分でコントロールできるようにすることです。
この違いは、実際に歌う時にはかなり大きな違いになります。
次回はこの話の延長として、ではその息によって声帯がどのように効率よく振動するのかについて詳しく紹介したいと思います。
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